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2017年7月4日 / masterq

プロプライエタリな会社でオープンソース運動をしすぎて怒られた時の謝罪メールテンプレ

[雑談] 僕のオープンソースに対する思い入れについて共有させていただけないでしょうか

少し長い雑談メールをお送りすることをお許しください。

僕はときおりオープンソースについて強い信念をもって主張することが
あると思います。そんな時
「なぜこの人はこんなにオープンソースに思い入れがあるんだろうか?」
と理解に苦しむ場面があると思います。今日はそんな僕のオープンソース
に対する愛着についてどんな理由があるのかについて説明したいと思います。

僕は20世紀MSXユーザとして育ちました。MSX-FANという雑誌があり、
その中で紹介されているコードは紙面にコードが掲載されていて、その
コードを写経して動かしていました。BASIC+マシンコードのプログラム
が多かったですが、それを意味もわからずに写経するのが小学生時代の
僕のプログラミングのルーツでした。そうしてご承知の通りMSXは終焉を
迎えました。それでもMSX-FANは発行し続けたのですが、ついに雑誌さえ
廃刊になりました。その最終号に
「これからMSXユーザはどこへ向うべきなのか」
というコラムが掲載されました。その中に
「GNUプロジェクトは多くのソフトウェアのソースコードを公開している」
「次のMSXユーザの楽園はGNUプロジェクトの菩提樹の下にある」
そのような主張がなされていました。もちろんこれは単なるコラムで
MSXコミュニティの総意ではありません。しかし中学時代の僕の心には
GNUの旗の下で一生を終えるのだ。というかすかな信念が植え付けられ
ました。

大学に入学して、学校から勧められたのはMacintoshでした。品質の悪い
OSでしたが、GUIには関心してCodeWarriorのC言語コンパイラを買って
なぜかPascalで書かれているGUIフレームワークのAPIをC言語からたたく
という謎のプログラミングモデルに悩んでいました。

大学時代後半になるとWindows 2000を使うようになりました。驚異的な
品質のOSでしたQuake3をビデオカードの上で動かしていてもまったく
ブルースクリーンになりません。マイクロソフトが設計するソフトウェアの
品質が如何に高いのか。その高品質に対する記憶は僕の心の奥深くに
注入されました。しかしマイクロソフト製品を使うのはGNUプロジェクトの
信念に反しています。僕は葛藤しながらもWindowsを使っていました。

Windowsユーザであると同時に僕はSlackwareというLinuxディストリ
ビューションを大学の友人に紹介してもらいました。そのLinux OSの上
ではGNUプロジェクトの製品がもれなく使えました。完全に自由な
エコノミーが広大な空間にひろがっていました。その全てのソースコードは
公開されていました。
「僕はこのコード全てを一生のうちに読むことができるのだろうか」
そんなみはてぬ遠い展望に僕は目がくらむと同時に大きな希望を感じ
ました。

ところがご存知の通りSlackwareの品質は劣悪なものでした。まずデバイス
ドライバがまっとうに動くことなどありません。ユーザは自分のPCで
デバイス動かないことをあたり前のように経験し自分の責任で不具合を
修正することが求められました。Windows 2000の高い品質を知っていた
自分としては、悔しいけれどLinux OSを大学の実験のようなクリティカル
な用途に使えず、あくまでもホビー用途にしか使えないなと感じていました。

そんな葛藤をかかえていたところにLinux japanとう日本の雑誌に
Debian GNU/Linuxディストリビューションの特集が組まれました。
Slackwareの他のディストリビューションしか知らなかった僕は軽い
気持ちでその特集を読みはじめました。dpkgというパッケージマネージャが
ディストリビューションの全てのモジュールをパッケージとして管理する
というしくみに関心しました。Linux kernelでさえdpkgで管理する1つの
パッケージに過ぎないのです。しかし技術面よりも強く感銘を受けた
のはそのプロジェクトの哲学でした。

そのDebianプロジェクトの哲学について調べているうちに僕は1つの文書
を発見しました「Debian宣言」です。以下にそのURLと文書の要約を引用
します。

https://www.debian.org/doc/manuals/project-history/ap-manifesto.ja.html

## A.1 Debian Linux とは何か?

"今までに開発された他の Linux ディストリビューションのように限定的な
個人やグループが開発しているものではなく、Linux と GNU の精神に則り、
オープンに開発されています。"
"Debian は、市場で十分な競争力を持ちえる、商用ではないディストリ
ビューションを作り出す試みでもあります。"

## A.2 なぜ Debian を作成するのか?

"大抵の Linux ユーザは、ディストリビューションを通して Linux なるもの
の最初の感触を得るものです。また、多くのユーザが、このオペレーティング
システムに慣れてからも、便利さを求めてディストリビューションを使い
つづけるでしょう。"
"ディストリビューションが明らかに重要であるにもかかわらず、開発者達は
ほとんど注意を払わずにいます。単純な理由によります。ディストリビューション
の構築は易しくもないし、魅力的でもないからです。"
"多くのディストリビューションがかなりよいシステムとして発表されました。
しかし、時が経つにつれて、ディストリビューションの保守から次第に関心を失い、
二の次になってしまいます。"
"これら配布業者は、より多くの雑誌で派手に広告を出してもかまわないだけの
金を努力して実際に稼ぎ出しています。単にあまりよくわかっていないだけの者が、
容認できない行動を助長してしまうという古くから見られる事例が見てとれます。
あきらかに、この状況を改善するために何か手を打つ必要があります。"

## A.3 Debian はこれらの問題に終止符を打つためにどのように努力するつもりなのか?

"Debian の設計過程は、オープンです。システムが最高の品質を持つことと、
ユーザの共同体の要求を反映させることを保証するためです。能力と背景に広がり
がある他人を巻きこむことで、モジュール化して Debian を開発することが可能に
なりました。ある分野の専門的知識を持つ者が、その分野を含んでいる Debian
の個々の構成要素を開発したり保守したりする機会が与えられるので、
その構成要素の品質は高くなります。"
"Linux が商用の製品ではなく、今後も決してそうはならないこと、しかし Linux
が商業的な競争に決して勝てはしないとは意味しないことを世に知らしめることに
なります。同意しない人は、GNU Emacs と GCC が成功していることを理由付けして
いただきたい。これらは商用の製品ではありませんが、商用であるかどうかにかかわ
らず市場に甚大な影響を与えてきました。
"Linux 共同体全体とその未来に迷惑をかけて自分が裕福になるという破壊的な目標
を目指すかわりに、Linux の未来に集中するときがきました。Debian を開発し配布
しても、この宣言で概略を述べた問題への回答とはならないかもしれません。ですが、
少なくとも、これらの問題が解決すべき問題として認められるくらいには Debian
を通して注意を引きたいと望んでいます。"

衝撃です。僕の目から入ったこの文章は確実に僕の心臓と脳を打ち抜きました。
もっと要約してしまえば彼は
「品質なき世界に我々は死するとも正義をなす!」
「品質に対する正義とは何か?それは我々がなにもかも定義するのだ!」
と宣言しているのです。プロプライエタリな製品を作っている人間にとっては
破壊者に見えるでしょう。しかし十字軍もイスラム教にとっては破壊者だったのです。

その後の歴史については解説する必要はないと思います。今皆さんがLinuxデスクトップ
を使っている際に選択するディストリビューションはUbuntuでしょう。そしてその
Ubuntuの品質の根っこは今もDebianプロジェクトが粛々と作りこんでいるのです。
僕の私見ですが、今もDebianプロジェクトを推進できたのはDebian宣言にある
品質に対する強い哲学と信念のおかげだと感じています。

ときおり僕が
「会社での生産物をオープンソース化した方が良い」
と主張するのには上記のような背景があります。今後もご迷惑をおかけすることも
多いと思います。その際には都度適切な方法でしかりつけていただけたら幸福です。

以上よろしくお願いいたします。

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